ノンバンクの雄、三井住友トラストL&Fは敷居の低い金融機関として有名ですよね。
ここでは三井住友トラストL&Fがサラリーマンの不動産投資に対する融資姿勢・スタンスについて詳しく解説をします。
三井住友トラストL&Fのサラリーマン不動産投資家への融資姿勢
金融機関が、申請者の属性、資産(店舗力)、申請対象不動産の収益性を重視するのは、融資金額が返済不能にならないためのリスクヘッジとなります。
その厳格さは銀行により異なりますが、三井住友トラストL&Fは、金融機関の中でも融資審査基準が比較的緩い傾向にあります。
サラリーマンにも貸す?
三井住友トラストL&Fは、勤続年数の短いサラリーマンにも融資をします。
ただし、オリックス銀行とかと違ってサラリーマン属性が好きってわけではないです。
どちらかと言うと、まず物件ありき、そしてその物件に十分な頭金を入れてもらって、安全性を確保するってイメージです。
なので、フルローンは出なくて、最低1割、普通は2~3割の頭金を要求されます。
オリックス銀行みたいに、サラリーマン収入を担保にフルローンを出すって戦略とは違うんですよね。
ただし、自宅などの担保余力のある不動産に共同担保設定すれば、フルローンは出やすいです。
共同担保アパートローンなどの債権(借入金)の担保として、複数の土地・建物に対して、担保(抵当権)を設定することです。
一つの不動産では担保価値が不足し、希望金額を融資してもらえない場合、他の所有不動産を共同担保にして融資額を大きくしたり、融資し易くします。
半給を3回とるだけで借りられるのでサラリーマンにも強い味方です「関連記事:有給半日(半休)3回取るだけで、三井住友トラストL&Fでお金を借りるを方法」
初心者サラリーマンにも貸す?
不動産投資の初心者であるサラリーマンに対しても融資をします。
特に不動産業界に携わっているサラリーマンに対しては、ノウハウをある程度身に付けていることが評価され、融資を受けやすくなります。
ただしこの場合においても、自宅などの担保余力のある不動産に共同担保設定が条件に課されることが多くなります。
年収の目安は?
年収の規定はありませんし、低くても審査を通過する点が特徴となります。
融資対象物件の購入価格、申請者の資産状況によっても異なりますが、目安として年収500万円以上となります。
昔は年収400万円が基準っていわれていたのですが、最近、三井住友トラスト・ローン&ファイナンスが人気になりお客さん(融資希望者)が集まるため、少し基準を厳しくしているようです。
東京でサラリーマンしている人なら、クリアーしている人は多いでしょう。
あくまでも担保力重視の姿勢です。
金融資産の目安は?
金融資産の規定は特になく、金融資産が無くても融資をします。
ただし、少なくとも頭金+購入時諸経費位は所有していないと、投資不動産をそもそも購入することはできません。
(既存の)負債額はいくらまでなら貸してくれる
負債額は3憶円が目安になっています。
いままでは負債額の規定はなく、2憶円以上だと審査が厳しくなるってレベルだったのですが、あくまでも融資対象不動産の評価額と既存不動産の負債額と共同担保の合計査定評価額が融資金額の目安となります。
合計査定評価額がプラスになれば、プラス分の融資が出ますし、マイナスになれば融資は出ません。
初取引時の頭金、金利の目安
初取引時の頭金は無しの場合もあり、購入時諸経費だけの負担となることもあります。
金利は現時点で3.9%、初回でも5000万円以上の借り入れを行うと2.9%となります。
頭金(目安)
初取引時でも2回目以降の取引時でも頭金は融資対象不動産と共同担保設定する自宅などの不動産の合計担保力により決まります。
希望融資額<合計評価額であれば、初取引時においても頭金無しでの融資を行います。
ただし共同担保が無い場合は、頭金を購入金額の約4割ほど必要になる場合もありますが、属性次第では1割ほどで済むこともあります。
金利(目安)
基準となる金利は3.9%(変動金利)です。団体信用生命保険付きの場合ですと、4.8%(変動金利)になることもあります。
また原則として、配偶者に連帯保証人となってもらう条件がありますので、配偶者の同意が必須となります。
一方、融資総額の借入残高が5,000万円以上になりますと金利優遇制度があり、2.9%(変動金利)になります。
例えば、1棟目のアパートを3,000万円の融資(金利3.9%)にて購入し、2棟目のアパートを2,500万円の融資にて購入した場合です。
その時点での借入残高の合計が5,000万円以上であれば、2棟目のアパートの融資金利は2.9%になります。
ローン手数料は融資金額の1.65%(最低110,000円)を要し、繰上返済は返済額の2%を要します。
アパートローンのみか?事業性融資もしてくれるか?
三井住友トラストL&Fは定型型のアパートローン(金利は3.9%または2.9%)のみです
「アパートローン」以外にも「不動産活用ローン(ビズネスコース)」があります。
このローンは開業資金、納税資金などに利用できるローンとなります。
三井住友トラストL&Fの不動産融資のスタンス
三井住友トラストL&Fの不動産融資スタンスを融資エリアや投資家の居住地制限、耐用年数切れ物件の融資有無、違法物件・既存不適格物件の融資有無の観点で説明します。
融資物件のエリアは?
融資エリアは全国になります。
ただし融資するか否かはあくまでも融資対象の不動産と共同担保の評価額次第となります。
投資家の居住地制限はある?
投資家の居住地制限の規定はありません。
ただ、支店のあるエリアだと融資が出やすいという情報はあります。
東京および周辺県、名古屋、大阪、福岡などですね。
どんな人に融資をする(地主、サラリーマン、経営者などどんな属性が好き?)
大多数の金融機関が、高所得サラリーマンや申告所得の高額な人を対象にして優先的に融資を行います。
それに対し、三井住友トラストL&Fは広範囲の属性の人に対して融資を行います。
個人事業主や契約社員・派遣社員、申告所得が少額の人、借入金の多い人、高齢者、外国籍の人などにも融資を行います。
また資産管理法人に対しても融資を行います。
さらに上記でも説明しましたが、不動産関係者に対しては融資を比較的容易に行う傾向にあります。
ただし、自宅などの担保余力のある不動産に共同担保設定が条件に課されることが多くなります。
どんな物件が好きか?
三井住友トラストL&Fの担保評価は、基本的に「積算評価」を採用し、積算評価の高い物件を好みます。
積算さえ出ていれば、借りやすいので分かりやすい金融機関なんですよね。
反対に、めちゃくちゃ高利回りでしかも入居付けしやすいような物件でも、積算が出ないと融資してもらえません。
私も経験あるんですよ、千葉中央駅徒歩3分で表面利回り18%超(ただ築古)みたいな物件を持ち込んで融資の可否を聞いてみたことが。
でもダメでした。
なぜかと言えば、商業地で容積率が緩いエリアだったので、大きな建物が建つため利回りが出る、でも土地が狭いって物件だったんですよね。
土地が狭いと基本的には積算が出にくくて、融資を引きにくいです。
高容積率エリアだと苦戦するかもしれません。
一方で地方の場合、積算評価<収益還元評価となる物件が多く、収益還元法で算出される実勢価格と積算評価額が乖離する物件が多くなりますので、融資を引きやすいですね。
ただ、関東だと北関東の物件は評価が出にくくなって、3割は頭金を入れるか共同担保を入れることを覚悟しましょう。
一方都心部の場合、収益還元評価<積算評価となる物件が多くなりますが、その場合には評価が低くなる「収益還元評価」が適用されますので、注意が必要です。
耐用年数切れ物件には融資する?
三井住友トラストL&Fは耐用年数切れの物件にも融資を行います。
融資期間は下表の通りです。
建築構造 | 耐用年数 | 融資期間(目安) | 築25年物件の場合
融資期間(目安) |
鉄筋コンクリート造 | 47年 | 60年―築年数 | 30年
(中古物件の場合、 最長30年の規定) |
重量鉄骨造 | 34年 | 50年―築年数 | 25年 |
軽量鉄骨造 | 19年 | ||
木 造 | 22年 |
融資期間の最大は30年となりますが、大半の物件の融資期間は20年~30年で組まれています。
新築の場合は、35年以内となります。
団信付きの場合には、完済年齢が以前は76歳未満でしたが、現在は81歳未満に設定されています。
築古物件購入の場合や高齢者の場合、三井住友トラストL&Fの融資は頼りになる存在となります。
違法物件、既存不適格物件にも融資する?
例えば建蔽率や容積率オーバーの物件や敷地接道辺長が規定未満の物件など、違法物件・既存不適格物件・再建築不可物件にも融資を出します。
耐用年数切れや再建築不可による高利回り物件の強い味方なんですよね。
わたし(ふくふどう)も都内で高利回り戸建を三井住友トラストL&Fを使ってゲットできました「関連記事:23区内の戸建投資。利回り15%容積率オーバー物件を融資で買えた方法」
他にも旧耐震基準の物件、借地権の物件などにも融資を出します。
ただし査定担保評価は落ちますので注意が必要です。
その他、高金利は厄介
三井住友トラストL&Fの最大のデメリットは金利の高さになり、融資利用するにはリスクがあります。
そのリスクをカバーするだけの事前の手だてが必要になりますが、下記にそれらを説明します。
ノンバンク故のリスク回避
三井住友トラストL&Fはノンバンク故に、高金利となるのが最大のデメリットとなります。
そのため購入時から、先々においての繰上返済や売却による資産組換えを考慮しておく必要があります。
それらの対策により不動産収支を安全圏に導くことが大切です。特に地方物件は、高利回りであっても1億円を超えるような高額な物件は避けた方が賢明です。
イールドギャップの目安
三井住友トラストL&Fを利用する場合、イールドギャップ(=実質利回りー融資金利)の目安は約8%が安全圏といえます。
つまり実質利回りが約12%前後出る物件でないと安全圏とはいえません。
共同担保を逆手に取った手法が通用しなくなった
三井住友トラストL&Fは共同担保を設定してリスクヘッジします。そのリスクヘッジを逆手に取り、評価額よりも実勢価格の方が安い物件を購入して希望融資額を引き出す手法が裏技として使われてきました。
例えば、投資対象物件が築古アパートの場合です。
販売価格が2,500万円ですが、査定評価額が1,500万円となり、融資額が1,500万円しか出ません。
頭金として1,000万円入れなければならない状況です。
その対策として、自己資金で路線価ベースの評価額が1,000万円の築古戸建てを500万円で購入し、合計査定評価額を2,500万円にします。
路線価が高い戸建てを買う対策により、500万円いれるだけで1000万円分の評価を得られるわけです。
すると、500万円の手出し(頭金相当)で買えるので、何も対策しない場合の1,000万円より500万円も必要資金が減るんです。
2,500万円の融資を受けることが可能となります。
購入物件 | 購入価格 | 査定評価額 |
---|---|---|
築古戸建て
(担保評価増額用物件) |
500万円 | 1,000万円 |
築古アパート
(本来の投資対象物件) |
2,500万円 | 1,500万円 |
合計査定評価額 | 2,500万円 |
しかし、2019年から築古戸建ての共同担保設定する際の査定評価額は購入価格にされることとなり、上記の事例は通用しなくなりました。したがって、無理して共同担保用の物件を購入する意味が無くなりました。
年齢制限(団体信用生命保険付きの場合)
団体信用生命保険付きの場合には、最終完済年齢が81歳未満に設定されています。新築物件だと最長35年まで、中古物件だと最長30年まで融資可能ですが、建築構造によっても融資期間は異なります。
現在の年齢 | 新築物件の融資期間 | 中古物件の融資期間 |
---|---|---|
40歳 | 35年 | 30年 |
50歳 | 30年 | 30年 |
60歳 | 20年 | 20年 |
以前は56歳以上であると金利が高くなる規定がありましたが、現在その規定はありません。
三井住友トラストL&Fは「信用保証協会」に対応できるか?
三井住友トラストL&Fは「信用保証協会」の保証には対応していません。
「信用保証協会」は、中小企業・小規模事業者(個人も含む)が金融機関から事業資金などを調達する際に保証人となり、融資を受けやすくサポートする公的機関です。
「信用保証制度」は、中小企業・小規模事業者、金融機関、信用保証協会の三者で成立します。
まとめ
以上、三井住友トラストL&Fの会社概要、商品内容、融資姿勢、融資スタンスなどの解説をしました。
融資審査は比較的通過し易いですが、金利が高いというデメリットがあります。利用するにあたっては、他の金融機関との使い分けが必要になります。
先ずは、都市銀行・地方銀行などに打診をし、融資が難しいようであれば、三井住友トラストL&Fなどのようなノンバンクに打診してみるという方法もあります。
ただし、高利回り(違法物件・既存不適格物件・耐用年数切れ)の中古物件を敢えて狙う様なプロの不動産投資家にとっては、三井住友トラストL&Fは使い勝手のある金融機関となります。
いずれにしても投資にリスクは付き物ですので、事前の資金計画・返済計画・出口戦略などを熟慮して利用されることをお勧めいたします。
関連記事:三井住友トラストL&Fで初めて融資を受けると必要な書類と面談で聞かれること
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