空室に悩む大家さんにとってインターネット無料は最大の武器です。
入居者が求める設備としてもトップだし、場合によっては家賃を上げれることも多いです。
単身向け物件にインターネット無料は空室対策として効果的
無料インターネットは、アパートオーナー(以下、オーナー)がアパートにインターネット設備を一括で設置することにより、入居者が無料でインターネットを利用できるサービスです。
入居者にとっては、毎月5,000円ほどかかる出費を抑えることができ、人気の高いサービスとなっています。
- 料金支払いはオーナー
- 使うのは入居者
なので、人気があるのも当たり前ですね。
反対に、オーナーは人気のある設備を入れられるので、家賃アップが可能になります。
各入居者が個別に契約するより、大家がまとめてネット提供する方が効率的
インターネットを利用するためには、光ファイバー回線をアパートまで引込み、接続機器を介して各住戸までLANケーブルを引込む工事が必要となります。
アパートの各入居者が個別にインターネット会社と契約して引込み工事を行うことは手間となり、効率的とはいえません。
しかし大家がまとめてインターネット会社と契約すれば、一括して工事を行うことができるので効率的といえます。
価格面でも、入居者が個別に契約しますと、月額5,000円前後の料金が入居者にかかります。
しかし大家がまとめて契約しますと、10戸前後の月額利用料金は12,000円前後となります。
共益費として1,500円前後のプラスで利用することができますので、入居者にとっては価格面でも効率的となります。
若者はテレビよりネット動画を見る
テレビは番組予定表通りに放映されるため、決まった時間にしか視聴できないというデメリットがあります。
しかしYOUTUBEやABEMA、TVer、GYAOなどのネット動画サービスは、好きな時間に何度でも視聴できるというメリットがあります。
その様な若者世代が増加していることが背景にあり、テレビ視聴者数は年々減少し、ネット動画の視聴者数は増加傾向にあります。
自宅でのネット動画を視聴できる環境は、若者世代には必須といえます。
家庭用ゲームもインターネット回線必須
家庭用ゲームもインターネット回線接続して楽しむタイプのものが大半を占める様になりました。
ディバイス(テレビやパソコン、タブレット、スマホ、ゲーム専用機器など)は全てインターネット接続できるようになっています。
そうすることで、対戦型や共同作業型のゲームを日本だけでなく、世界中の見知らぬ人たちと繋がることにより、ゲームを楽しむことができます。
わたしも、サッカーゲームとか、コンピューターと戦うだけじゃ飽きてしまいますが、インターネットを通じて人間と戦うことが出来ると、いくらでもやっていたくなります。
それだけ、インターネットはゲームを楽しむ人にとって必要な設備なんですよね。
Eスポーツも盛んになり、こうした環境を利用してゲーミングシェアハウスを運営しているオーナーさんもいますね。
セキュリティもインターネット回線必須
監視カメラの設置は、アパート入居者にとって不審者の侵入抑止効果があり、セキュリティには効果的となります。
特に女性単身者が入居する場合には、監視カメラなどのセキュリティの充実が必須となります。
監視カメラがインターネット回線に繋がれば、警備会社や管理会社、大家のディバイスとも繋がり、タブレットやスマホで手軽に監視することができます。
仮に事件などが生じても、記録として一定期間映像データが保存されていますので、検証に利用することもできます。
インターネットによるセキュリティの特徴とメリットを下表にまとめます。
特 徴 | メリット |
---|---|
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ファミリー向け物件にもネット無料は有効
これからの時代、業務や教育、趣味、遊興などはインターネットを介して実施される割合が増加します。
特に子供がいるファミリー世帯などに対しては、インターネット無料サービスを提供することにより、入居率向上に貢献することとなります。
子供あり世帯はネット利用が多い
子供がいる世帯は必然的にインターネット利用は増加します。
特に子供は、生まれながらにインターネットを利用する機会に触れているため、当然のごとく利用します。
ゲームは当然として、学習教材もインターネットを利用しながら学習を進捗させるタイプが増加しています。
また習い事もインターネットを利用しながら指導するタイプが増加しています。
今や学習・趣味・遊興には欠かせない必須アイテムとなっています。
テレワークも急増
2020年の新型コロナウィルスの感染拡大により、政府や自治体が3密防止(密閉・密接・密集)を呼びかける中、業務面でのテレワークが一気に普及しました。
その結果、テレワークにおいても十分に成果が期待できる分野や業務内容が実証されることにより、この傾向は持続するものと思われます。
そうなるとオフィスが不要とまでいわれるようになり、今後益々自宅でのテレワークが急増するもの思われます。
したがって、アパートなどにおいてもインターネット環境の充実や質の向上が求められることとなります。
その他便利グッズ・サービス
上記のネットワーク防犯カメラ以外にも様々なインターネットに繋がる便利グッズが続々と開発されています。
項目 | 内容 |
---|---|
宅配ボックス | 留守でも荷物を受け取ることができ、また荷物が届くとスマホなどに通知されますので入居者満足度は高くなります。 |
遠隔での家電操作システム | スマホでエアコンや浴室などの設備を遠隔操作でき、室温調整やスムースな入浴が可能となります。消費電力も一目でわかるシステムです。 |
スマホで開閉可能なロックシステム | スマホでの鍵の開け閉めを遠隔操作できます。空室の場合、いつでも内覧可能となりますので、入居者の迅速な確保に繋がります。 |
遠隔モニター | 高齢者夫婦などを子息などが見守りたい場合、スマホで両親を見守ることができます。 |
光回線とWiFiとっちが良い?
光回線とWifiとの回線方式の違いや回線速度、価格、手間などの違いを解説し、それぞれのメリット・デメリットをまとめます。
入居者の利用形態により、選択する方式が違ってきます。
募集時に「インターネット無料」とするには固定回線が必要
「インターネット無料」の回線方式には、主なものとして光回線(有線LAN方式)とWifi(無線wifi方式)があります。
それぞれの方式を説明します。
有線LAN方式
この方式は、アパートまで引き込まれた光ファイバーをハブといわれる接続機器を通して分岐させ、アパートの各住戸へ引き込む方法です。
各住戸まで有線LANケーブルが引き込まれているため、安定した通信速度の確保が可能となります。
パソコンから部屋のコンセントにある有線LANケーブルの接続口に差し込み、インターネットを利用します。
無線wifiを利用する場合には、有線LANケーブルの接続口に無線wifiルーターを差し込み、wifiを利用します。
無線wifi方式
この方式は、アパートまで引き込まれた光ファイバーを無線wifiルーターといわれる接続機器を通して分岐させ、アパートの各住戸へ無線で電波を届ける方法です。
この方式は、導入工事が簡易で済みため、導入時間を短縮することができます。
しかし、無線wifi方式は木造しか利用できず、鉄筋コンクリート造や鉄骨造のアパートに対しては、壁が厚く電波が届かなくなります。
また無線Wifiルーターからの距離にも回線速度は影響されます。
早いのはどっち?
回線方式の違いによる回線速度の違いを下表にまとめます。
回線方式 | 運営会社 | 回線速度 | 提供範囲 |
有線LAN方式 | NTT東日本 | 1Gbps | 1住戸ごと |
インターネット会社 | 棟全体(全住戸) | ||
無線Wifi方式 | バッファロー | 866Mbps |
Δ回線方式による速度の違い
有線LAN方式のスピード
有線LAN方式の場合、各社とも回線速度は1Gbpsを提供しています。NTT東日本は1住戸ごとに1Gbpsを提供しているのに対し、インターネット会社は棟全体(全住戸)に対して1Gbpsを提供しています。
NTT東日本の場合、各住戸まで専用の光ファイバーを引き込みます。
したがって各住戸の入居者は1Gbpsの回線速度を利用することができ、安定して使用することができます。
1戸建てと同じ感覚となります。自宅でのリモート業務に向いているスタイルといえます。
一方インターネット会社は、1Gbpsの回線速度を全住戸でシェアする方式となります。
無線Wifi方式のスピード
無線Wifi方式の場合、有線LAN方式と比較しますと数字上は若干落ちますが、実際の利用には支障が生じません。
最高画質のYOUTUBE動画を見るのに必要な回線速度は、3Mbpsです。
無料Wifi方式の回線速度が866Mbpsとなりますので、288台分のディバイス(パソコンやスマホなど)に対応することができます。
一般的な10戸~20戸前後のアパートの場合、1戸当たり3台のディバイスがあるとしても、YOUTUBEを全戸数全ディバイスが同時視聴したとして90Mbps~180Mbpsもあれば足りる通信速度となります。
したがって回線速度に問題はありません。
価格が安いのは?
回線方式の違いによる価格の違い(目安)を下表にまとめます。(一般的なアパート:木造2階建て10戸)
回線方式 | 運営会社 | 初期費用 | 月額料金 |
---|---|---|---|
有線LAN方式 | NTT東日本 | 約16万円 | 約3万円/月 |
インターネット会社A | 約40万円 | 約1.1万円/月 | |
インターネット会社B | 約30万円 | 約1.3万円/月 | |
無線Wifi方式 | バッファロー | 約38万円 | 約1.3万円/月 |
Δ回線方式による価格の違い(目安)
また、回線方式による経過月数ごとの累積価格の違いを下表にまとめます。(一般的なアパート:木造2階建て10戸)
回線方式 | 運営会社 | 経過月数ごとの累積価格(初期費用+月額料金×経過月数) | ||||
1か月目 | 8か月目 | 9か月目 | 12か月目 | 13か月目 | ||
有線
LAN方式 |
NTT東日本 | 19万円 | 40万円 | 43万円 | 52万円 | 55万円 |
インターネットA | 41.1万円 | 48.8万円 | 49.9万円 | 53.2万円 | 54.3万円 | |
インターネットB | 31.3万円 | 40.4万円 | 41.7万円 | 48.2万円 | 49.5万円 | |
無線
Wifi方式 |
バッファロー | 39.3万円 | 48.4万円 | 49.7万円 | 53.6万円 | 54.9万円 |
Δ回線方式による経過月数ごとの累積価格の違い(目安)
有線LAN方式の価格
有線LAN方式の場合、NTT東日本と他のインターネット会社を比較してみます。
インターネット開設当初8か月目までは、NTT東日本が累積価格は一番安くなります。
しかし9か月目以降になりますとインターネット会社Bの方が累積価格は安くなり、13カ月目以降にはインターネット会社Aの方が安くなります。
無線Wifi方式の価格
無線Wifi方式の場合、NTT東日本とバッファローを比較すると、インターネット開設当初1年までは、NTT東日本の方が累積価格は安くなります。
しかし13か月目以降にはバッファローの方が安くなります。
NTT東日本は初期費用が他の会社と比較して圧倒的に安くなりますので、短期での利用の場合にはトータルで安くなります。
しかし長期の利用となりますと、月額料金が圧倒的に高くなるため、他のインターネット会社や無線Wifi方式を採用した方が安くなります。
手間がかからないのは?
手間がかからないのは、「無線wifi方式」となります。有線LAN方式と異なり、住戸内工事が必要ないため、入居者の在宅や不在の確認をすることなく工事をすることが可能です。
実際の工事としては、アパートまで光回線を引く工事としてNTTが約1か月をかけて行います。
その後、無線Wifiルーターをアパートの外壁やベランダに取付ける工事を約1日で行います。
通信の安定性
安定性は、「有線LAN方式」の方があります。「無線Wifi方式」の場合、無線Wifiルーターからの距離があると通信状態が悪くなりますし、外部環境にも影響され易く極端に悪くなる可能性もあります。
メリット・デメリットのまとめ
「有線LAN方式」と「無線Wifi方式」のメリット・デメリットをまとめますと下表の通りです。
回線方式 | 運営会社 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
有線
LAN方式 |
NTT東日本 |
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|
その他のインターネット
会社 |
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|
無線
Wifi方式 |
バッファロー |
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業務などで利用する場合には、「有線LAN方式」が向いているといえます。
スマホやタブレットなど、移動しながら利用する場合には、「無線Wifi方式」が向いているといえます。
インターネット無料の心配
インターネット無料により、入居者の満足度を高めることはできますが、大家の負担は増えます。
そこで大家の負担分を既存入居者に対しては、インターネット回線を利用する人だけ共益費を上げたり、新規入居者から共益費を上げるなどの工夫が必要です。
既存の入居者の反応:共益費を払えば使用可にする
既存の入居者に対して、インターネット導入による共益費のアップは気が引けるものです。
特に長年住んでいただいている入居者にとってはなおさらです。
中にはインターネットを利用しないどころか、スマホを所有していない人もいるため、一様に共益費を値上げすることは反発が想定されます。
そこで既存の入居者に対しては、共益費2,000円程度上げれば、インターネット無料を使っていいよって仕組みにするとよいです。
共益費あげたくなければ、今まで通り自分で契約すればよいので、相手の納得感も得られます。
まあ、大家の無料ネット使った方が安いので、普通の人はこっちを選ぶので心配いりません。
新規入居者分から共益費アップする
既存の入居者に対しては、サービス向上による長期入居を目的として、共益費アップを据え置きし、新たな入居者に対して共益費をアップする方法もあります。
この方法ですと、共益費の違いがインターネット導入前後の違いによることを明確に入居者に説明できるため、有効と考えられます。
工事は必要?
有線LAN方式、無線Wifi方式のいずれもアパートまでの光ファイバー回線の引込工事は必要となります。
その後、接続機器を通して有線LAN方式の場合には、各住戸までの引込工事が必要です。
無線Wifi方式の場合には、外壁などに無線Wifiルーターなどの設置工事が必要です。
契約期間は?長期縛りある?
契約期間はインターネット会社により様々です。
長期での縛りの有無については、インターネット会社ごとに確認することが必要ですが、一般的には縛りがあると考えて良いでしょう。
どれくらいの期間で導入できる?
有線LAN方式と無線Wifi方式とでは違ってきます。
有線LAN方式の場合、各住戸へのケーブル引込工事が生じますので、入居者との日程調整による工事日のバラツキにより時間がかかります。
項 目 | 有線LAN方式 | 無線Wifi方式 |
---|---|---|
見積り依頼~見積書提出 | 2週間前後 | |
発注~アパートまでの引込工事
(NTTによる工事) |
約1か月前後 | |
各住戸内への引込工事 | 約1か月前後 | ― |
外壁などへのWifiルーター設置工事 | ― | 1日 |
工事期間 | 約2.5か月 | 約1.5か月 |
Δ見積依頼から工事完了までの期間
インターネット無料の導入方法
入居者に対する満足度の向上や空室対策として、インターネット無料の導入を図るため、特にインターネット会社の選択が重要となります。
入居者の満足度と大家の負担額などを天秤にかけながら、最適解を導き出すことがポイントです。
管理会社へ相談(やらなくても可)
管理会社への相談は必要に応じて行うのが良いです。
例えば入居者から管理会社へインターネットに関する要望が既に入っている可能性もあります。
それらの入居者情報をヒアリングできれば、管理会社との打合せは有効なものとなります。
大家自身が入居者とコミュニケーションがよく取れているようであれば、管理会社への相談は不要となります。
各社への見積り依頼
インターネット会社へ見積依頼をする場合、建物構造や回線速度・安定性、サポート体制に留意しながら行うことが必要です。
また価格や性能などを比較検討するためにも、少なくとも数社に見積り依頼を行う必要があります。
見積り依頼後、インターネット会社の担当者が現地確認を行いますが、主に共用部分となります。
この段階での現地での立会は不要です。
建物構造
「3-1-2.無線Wifi方式」でも説明しましたが、「有線LAN方式」はどの建物構造にも対応できますが、「無線Wifi方式」は木造しか対応できません。
先ずはインターネット会社へアパート構造を伝えることが先決となります。
回線速度・安定性
入居者層により考慮する必要があります。在宅中に簡易な調べ物や好きなYOUTUBE動画を見る程度ならば、インターネット専門会社に見積依頼をしても良いと思われます。
しかし在宅勤務が増加する中、、WEBデザイナー・エンジニアリング、Eスポーツのゲーマーなどには回線速度や安定性、セキュリティを求められます。
その場合にはNTTが各住戸まで光ファイバー回線を引く方式が良くなります。
ただし、他の方式と比較すると長期利用の場合には価格は高くなります。
サポート体制
インターネット会社の利用者に対するサポート体制も考慮に入れる必要があります。
365日24時間体制でサポートする会社もありますし、時間帯を9:00~18:00までと限定する会社もあります。
これらも入居者のインターネット利用状況を調査した上での選択・見積が必要となります。
1社を選んで契約する
依頼した数社から見積りが提出された後に、比較検討し1社を選択・契約となります。
契約する前に疑問点は必ず質問して解消し、不安を残さない様にすることが大切です。
大家、ネット回線会社と管理会社の三者で打ち合わせ
入居者に対するインターネット導入の告知方法などについて、大家・インターネット会社・管理会社が打合せを行います。
工事開始日・工事期間・住戸内工事日・工事個所などの事前確認を、後日トラブルが生じないように入念に行います。
工事
入居者に対する告知を確認できれば、インターネット接続工事を開始します。
住戸内工事がある場合には、少なくとも工事の前日には入居者に連絡・確認しておくと、入居者不在による工事不可といったトラブル防止となります。
ネット無料開始
回線速度などの点検・確認作業が終了すれば、インターネット無料開始となります。
開始後もトラブルが生じないかなどの注意やサポート体制の確認が必要です。
まとめ
以上、インターネット無料は単身者向けやファミリー向け物件に対して、空室対策としては有効であることを解説しました。
また「有線LAN方式」や「無線Wifi方式」の違いやインターネット無料の心配事、導入方法について解説しました。
今後の空室対策はインターネットを介した設備機器である「IoT」に移行するものと思われます。
その鍵はスマホでの利用の可否であり、遠隔操作の可否となります。
アパートの大家にとって、インターネットやIoTなどの情報収集は必須項目となり、導入していかなければならない設備機器となります。
空室対策の上でも、それらの導入計画を立案されることをお勧めいたします。
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