浄化槽物件は戸建投資の対象としてどうか?維持費の利回りへの影響を考える

田舎の物件って浄化槽の物件ありますよね。

ちょっと今、千葉県の浄化槽物件を検討しているんですが、これが150万円まで指値が通ってて、結構高利回りに仕上がりそうです。

ただ、ネックは浄化槽物件ってことなんですよね。

そのため、浄化槽物件の弱点、主にかかる費用と手間、入居付けについて解説します。

浄化槽物件は投資対象になるか?

目次

浄化槽とは

浄化槽って下水道と汲み取り式の中間、みたいなイメージありますよね。

下水道(都会)>浄化槽(田舎)>汲み取り式(ド田舎、築古)

浄化槽の他に、下水道、汲み取り式を比較しながら「浄化槽とは」ついてまず説明します。

 

あなたが家で使った水(下水)は、そのまま川に流せないですよね。

環境汚染になっちゃいますから。

なので、下水を処理してから川や海に流す必要があるわけです。

その下水を処理する方法の一つが、浄化槽になります。

下水の内訳

先ず基礎知識として、建物から出る下水の内訳は以下の3種類となります。

それぞれについて説明しますと下表の通りです。

汚 水 トイレから出る排水
雑排水 風呂・洗面所・台所などから出る排水
雨 水 敷地内への降水から出る排水

3種類の排水の中で、河川などに排水するまでに浄化処理が必要な排水は汚水と雑排水になります。

下水道の下水処理

浄化槽の説明をする前に下水道の汚水処理を説明します。

各家庭(物件)から汚水が出ると下水道を通じて下水処理場に運ばれます。

小学生のころ下水処理場を見学した人もたくさんいるのではないでしょうか?

わたし(ふくふどう)も、下水処理場を見学したことがあります。

その汚水を下水処理場で処理していくわけですが、いくつもの槽(巨大な水槽)を通じて不純物を沈殿させつつ、有機物をバクテリアを通じて分解させます。

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こんな感じが下水道での汚水処理になります。

では、浄化槽は

それでは浄化槽での汚水処理は、下水処理場の処理を各物件でおこなうイメージになります。

浄化槽は各家庭、物件で発生した汚水を、物件ごとに設置されている浄化槽で分解処理し、川に放流する仕組み

仙台市役所 City of Sendai

こんな感じですね。

人口が少ないエリアだと、下水道を整備して大規模な下水処理場を作るより、各物件ごとに浄化槽を設置する方が社会としてコストが低いわけです。

そのため、千葉とかの周辺エリアでは浄化槽物件が多いです。

浄化槽物件のメリットとデメリット

ここから浄化槽物件のメリットとデメリットを見ていきましょう。

浄化槽物件のメリット

浄化槽物件のメリットは、

  • 下水料金がいらない(入居者負担が低い)
  • 価格が安い

浄化槽物件のデメリット

浄化槽物件のデメリットは

  • 稀ににおいがする場合がある
  • 賃貸に回すとき入居者が嫌うケースがある
  • 売却時も本下水しか対象にしない人は買ってくれない
  • 維持費がかかる

賃貸募集は、浄化槽でも気にしないって人が大半なので問題ないかと思います。

気になるのは最後の維持費でしょう。

本下水だと入居者負担なのに対して浄化槽はオーナー(投資家)負担になります。

そのため、コスト負担があり実質利回りが低下してしまうんですよね。

この浄化槽の維持費(コスト)については、次でよく見ていきましょう。

浄化槽の維持費は

浄化槽の維持費は、ざっくりいうなら年間5万円程度になります。

もう少し詳しく説明すると、浄化槽には「単独式」、と「合併式」があります。

単独式浄化槽とは:トイレの汚水のみ処理する浄化槽

合併式浄化槽とは:トイレだけでなく、生活排水も含めて処理する浄化槽

ってことになります。

図にすると下のようなイメージです。

【単独浄化槽】

単独浄化槽は、トイレの糞尿のみを浄化処理する

【合併浄化槽】

合併浄化槽は、生活排水全般を処理する。現在はこちらの形式のみ許可されている

単独浄化槽はキッチンやお風呂の排水を処理しないって衝撃的じゃないですか?

環境汚染しまくりですよね。

その感覚ってとても正しくて、現在では単独浄化槽は使用禁止になっています(2001年以降禁止)。

だから、新しい物件は合併浄化槽ですが、古い物件は単独浄化槽の物件もありますね。

それぞれのコストは若干違っていて、以下のようになります。

戸建についているのは5人槽が多いので、その前提でのコストを載せます。

 

【単独浄化槽のコスト(5人槽)】

コスト 検査頻度 年間コスト
水質検査 11,500 設置後1回 初回のみ
定期検査 5,000 1年に1回 5,000
保守点検 9,000 1年に3回 27,000
清掃 5,400 1年に1回 5,400
電気代 8,400 年間 8,400
合計 45,800

【合併浄化槽のコスト(5人槽)】

コスト 検査頻度 年間コスト
水質検査 11,500 設置後1回 初回のみ
定期検査 5,000 1年に1回 5,000
保守点検 9,000 1年に3回 27,000
清掃 13,200 1年に1回 13,200
電気代 8,400 年間 8,400
合計 53,600

浄化槽のコストが利回りに与える影響

浄化槽が年間5万円程度の費用が掛かることがわかりましたが、この費用が戸建投資の利回りを押し下げる効果を見ていきましょう。

賃  料:月5万円

物件価格:300万円

の物件の場合、表面利回りは5万×12か月÷300万円で20%が利回りになりますね。

これに浄化槽費用が必要な物件だと(5万×12か月-5万円(浄化槽費用)÷300万円で18.3%が利回りになります。

利回り20%を目指す水準で戸建を買う場合、大体2%弱利回りが低下するって考えて良いでしょう。

まあ、そこまで気にしなくて良い水準かも知れませんね。

ただし、下水道の整備計画がある場合は要注意

浄化槽コストは単独ではそこまでの影響はありませんが、物件のエリアに下水道が整備される計画がある場合は要注意です。

下水道が整備されると、物件の所有者は原則的に下水道に接続しなければいけません(下水道法によって決まっています)。

そしてその接続費用は物件の所有者の負担になります。

気になる下水道の引込工事は費用ですが、

公共下水道管の公設マスが近い:40万円前後

公共下水道管の公設マスが遠い:60万円~100万円前後

くらいが相場になります。

このくらいの金額になるとさすがに影響が大きいですね。

100万円掛かるとしたら、上の300万円の戸建の例だと、実質400万円になります。

利回りは20%から16%まで下がってしまいますね。

この負担はなかなか大きいと言えそうです。

 

下水道に切り替えた後は、下水道物件になるので多少は売却価格が高くなる効果はあるでしょうが、その効果は微々たるもの。

とても引き込み工事の料金を回収できるほどではないでしょう。

まとめ

下水道物件ならベストですが、浄化槽物件でも安ければ普通に投資対象になります。

しかし、下水道が整備されるエリアだと、あとあと負担金が必要になります。

そのリスクを考えながら、それでも十分な利回りまたは資産性がある物件を買えば、安全そうですね。

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