家賃滞納は大家最大の悩みですよね。
悪質な滞納者だとお金持っていても、家賃支払わないですからね。
家賃を払わなくても、6か月は退去させられず、6か月たったら出て行けば、これ以上追及されないっていうのが、歪んだ家賃滞納者の認識です。
無料で3~6か月住める、こんなこと許されたらおかしいですよね。
実はこうした状況は変化しています。
これまで家賃滞納のが出ると
①家賃滞納者への督促
②裁判
③滞納家賃の強制執行(ここが強化される)
②③と並行して追い出し
という手続きで、対応を進める必要がありました。
この③が法改正の影響で強化され、対応がしやすくなりました。
民事執行法の改正
実は2020年4月から民事執行法が改正され財産の差し押さえがしやすくなりました。
これにより2021年3月5日に、法改正後に初となる家賃滞納者の摘発が行われました。
家賃滞納者が刑事罰って画期的なことです。
何があったかと言うと、
家賃滞納で家賃保証会社から財産開示請求手続きを申し立てされた男性が、期日までに出頭しなかったことで警視庁に書類送検されたのです。
実際に逮捕までいくとは、警察もかなり厳格に適用するみたいですね。
これまで余裕をブッコいていた家賃滞納者も、焦ったのではないでしょうか?
実際に逮捕された人のコメントは、
「出頭する予定だったが、朝起きられなかった。寝過ごした。裁判所の呼び出しをなめていた。まさか書類送検されるとは思わなかった」
みたいな、認識だったようです。
警視庁ってことは東京ですね。
東京は厳しい法適用をしている可能性がありますが、たぶんこれが全国の警察の参考になって、全国的な適用が続くのかも知れません。
家賃滞納は16万円。
16万円くらい払えばいいのにって思いますが、これは大家としての感覚で、滞納しているような人には重い金額なんでしょうね。
裁判で勝つこと自体は民事執行法の法改正前でも可能だった。
改正前の民事執行法でも、家賃滞納すれば裁判で勝てました。
しかし、買った後が問題だったのです。
勝てば裁判所からの支払い命令がでます。
そこで家賃滞納者が払えば問題ないが、無視して払わない滞納者が多いです。
まあ、基本、悪質な滞納者は余裕ブッコいていますからね。
そうなると、差し押さえ(強制執行)となります。
でも、家賃滞納者の財産(財産状況が不明)がどこにあるか分からない。
強制執行するには、家賃滞納者の銀行口座などを把握する必要があるが、それが大家からは分からない。
結局差し押さえできない。
2003年時点の法改正で、裁判所が債務者に財産の開示を命令することが出来るようになりました。
財産開示手続きといいます。
財産開示手続きによって開示を命令された者(開示義務者)が正当な理由なく
・裁判所の呼び出しなどに応じなかった
・財産開示期日に宣誓しなかった
・財産開示を拒否した
・虚偽の財産開示を行った
上の場合の罰則が強化されました。
改正前は行政罰 30万円以下の過料→前科付かない
改正後は刑事罰 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
懲役が加わったので、厳しくなった~って印象があると思います。
改正前は行政罰、すなわち前科は付きませんでした。
軽微な交通違反と一緒ですよね。
でも、改正後は刑事罰です。
前科一犯になるわけです。あまり滞納者がなめた対応は取れなくなるでしょう。
残る問題は本当に財産が無い人
一方で滞納者に財産があるか、という問題があります。
そもそもお金が無いから滞納するわけです。
今回の改正で、財産が隠してあるような状況で滞納するっていう悪質な滞納者への対応は進みました。
まあ、意外とこういう人もいますが、こういう人ばかりではないでしょう。
差し押さえを前提にした対応なので、本当にお金が無くて滞納する人には効果が限定的なわけです。
お金が無いけど、大家の物件にタダで済んでやるぜっていう意味の悪質な家賃滞納者対応はまだまだです。
・もっと、(現行の6か月から)短期間で追い出せるようにする
・意図的な滞納なら刑事罰に処されるようにする
みたいな対応が今後求められますね。
コメント